この記事では、自分の「印象」を整える対策をしたことで客室乗務員試験に合格した受講生の実例を、実際のコンサルティングの流れに則ってご紹介したいと思います。前回までに概要説明とこの記事で紹介する実例とは別の方の実例を紹介してきているので、まだ読んでいない方は次の順番でどうぞ。
- CA受験で合格する第一印象のための対策方法【PART1】概要
- CA受験で合格する第一印象のための対策方法【PART2】私の実例
- CA受験で合格する第一印象のための対策方法【PART3】合格した受講生の実例1
- この記事
目次
合格実例2:Mさん30代 サービス業
CAに合格するための対策として印象を考える場合、まずは表面的な印象を把握する必要があります。事前に実施していた自己分析を見せてもらってわかっていた、Kさんの表面的な特徴を見てみましょう。
書類上に出る強み
書類上に出る強みは、
- チームで働いた経験があり、協調性があること
- 人間関係を構築するのがすごく上手なこと
見た目の特徴
見た目の特徴は、
- 身長が低い(155cm)
- 髪が短い(顎くらいまでの長さのショートカット)
話していて分かる強み
実際に話していて分かる強みは、
- お子様やお年寄りに対するケアができること
- 何事にも感謝できること
- 気持ちがすごく繊細であること
- 優しくて思いやりがあること
- 自己肯定感が低く、自信がない
Mさんが当初持っていた不安として、自己肯定感が低いというものがあります。Mさんに限ったことではありませんが、自分に自信がないことは「印象」として初対面の面接官にも伝わることがあります。この状況が、印象戦略を考慮した私のコンサルティングによって彼女がどう克服していくか、その様子を見ていきましょう。
印象戦略を構成するステップ
印象の戦略を考えていくステップは合格実例1で紹介したものと同じです。
STEP1-1 外見イメージを探る
STEP1-2 書類イメージを探る
STEP2-1 不足イメージを探る
STEP2-2 補充イメージを探る
STEP3-1 あなただけの事実に紐づける
STEP3-2 キャッチーな言葉を探してみる
STEP3-3 全体の構成戦略を練る
STEP4 戦略を練りこんだ文章を作る
今回も、このステップに沿って1つずつ見ていきましょう。
STEP1-1 外見イメージを探ろう
自分が認知している自分の印象と、実際に外部からみた自分の印象のギャップを探っていきます。そのために、自己分析の他に実際に周囲の人から意見をもらうという作業は欠かせません。
本人の予想・実際に言われたことがある印象:
真面目そう、長女タイプ、しっかりしていそう、明るい感じ
ヒアリング結果 :
しっかりしたお姉ちゃん、長女タイプ、協調性、おっとり、マイペース
このように、ヒアリング結果の時点で相反するイメージが出てきているというのが非常にわかりやすい手掛かりです。ここを掘り下げることでMさんが合格しやすい自分の出し方が見えてくるわけですが、相反するイメージの1つ1つに対して注意深く見ていく必要があります(自分で自分を客観的に見ることは不可能なので、ここで必ず第三者の意見が必要になります、そのために私のような存在を頼って、委ねてみてくださいね)。
STEP1-2 書類イメージを探ろう
・真面目、チームワーク、協調性、しっかりしていそう
Mさんは、当時勤めていたサービス業について書くことが多かったので、その書類を見た人はMさんの印象に、真面目・チームワークができる人・協調性がある人・しっかりしていそうだという印象が加わることが容易に予想されました。ただし、チームで働いたりお客様に対して毅然とした態度をとる場面があったりするというのはサービス業の基本的な役務でもあるので、これらがアピールにつながるかどうかというのは疑問なところ(Mさんの他の自己分析やエピソード次第)でもあります。
STEP2-1 不足イメージを探る
私が直接顔を見て話し、幅広い角度からの自己分析を提出してもらったことではっきりとわかったMさんの繊細さや人間的な愛情・優しさは、Mさんは自分では「足りない」と思っていたようなのでこれまで応募していた書類ではアピールされていなかったのですが、持って生まれた(または、これまでの人生で培ってきた)Mさんの素晴らしい素質なのでそれは強みとしてアピールすると有利かもしれないという予想がまず1つ。そして、もう1つは応募する企業のカラーや文化や雰囲気にも寄りますが、当時Mさんが希望していた外資系航空会社のイメージに寄り添うには、「元気」や「体力」のイメージが不足しているという予想ができました。
STEP2-2 補充イメージを探る
ということで、補充すべき印象は
- 明るさやしなやかさ
- 話すとわかるハキハキとした感じや思考
- 基礎体力や忍耐力
だと導き出されます。Mさんは、書類で真面目・しっかりしているというイメージを伝えることができる職歴や文字の雰囲気なので、不足していると予想した「人としての温かみ」を感じる部分を印象付けられれば、合格に有利だと予想したわけです。書類も真面目で見た目も真面目そうだと、堅そうだったり、融通が利かなそうだったり、個性がないという風に受け取られてしまう可能性があると考えたからです。
STEP3-1 あなただけの事実に紐づける
ここまで炙り出されてきたMさんの性格が表れている実際の経験を探してもらい、最終的には
- 安全のためならお客様に対してもNOと言ったことがあるエピソード
- イレギュラーな状況においてもお客様の要望にできるだけ寄り添う対応をとったエピソード
- お子様に話しかけたり遊んだりして親御さんに喜ばれたことがある
- 体が不自由なお客様やお年寄りのお客様に対して、丁寧な対応を心がけ、お客様からお褒めのメールや手紙をいただいたというエピソード
というのが出てきました。
STEP3-2 キャッチーな表現に置き換える
ここでいうと、Mさんを表す言葉として、
- 話さないとわからない明るさや前向きさ
- 人の立場や視点になって考え、行動に移せること
を表せる言葉をキーワード的に使うといいんじゃないかということになります。(キャッチーな言葉だけに個人特定がされやすいので、Mさんが実際にどんな言葉に落とし込んだのかの明記は避けます。)
STEP3-3 全体の構成戦略を練る
ここまでで浮かび上がってきた外見イメージ・不足イメージ・補充イメージをもとに、CA採用試験の全選考プロセスでどのように気を配るか、を考えましょう。或いは、ここまで自己分析してきて、まだエピソードを裏付けとして補充できていないイメージがあれば探します。Mさんの場合は
- 基礎体力や忍耐力
がそれに当たります。そこで、もう少し踏み込んで当時の働き方を分析したところ、Mさんはずっと夜勤のある仕事をしてきているということがわかりました。これはシンプルですが、基礎体力をアピールできるネタとなると考えました。
STEP4 戦略を練りこんだ文章を作る
この全体の戦略を持って実際に応募書類の文章や面接発言をつくっていきます(面接発言の場合は一字一句考えても意味がないので、頻出の質問に対しての回答の大枠・軸を作るイメージです)。
私が実際にMさんに助言したのは、見た目で周りから言われることが多いという“真面目そうな感じ”がマイナスに働く(堅そう・融通が利かなそう等)イメージではないということです。実際に私や他のメンバーが合格したやり方の自己分析をしてもらい、これまで合格できなかった応募書類や写真も見せてもらい、直接話して私が感じていたのは、真面目というよりも「素直」という言葉のほうがMさんを忠実に表しているということでした。それに加えて、人間としての温かみや繊細さというもともとの性格がエピソードの裏付けを伴った強みとしてアピールできるので、不足イメージを補充するエピソードに頭を悩ませるよりも(それが夜勤があるというくらいの根拠しか出てこなかったこともありますが)、シンプルに、仕事に対してどういう価値観を持って動いているかというところを深く一貫性を持って話せるように整えたほうが、Mさんの場合は合格しやすいと感じました。
まとめ
Mさんは実際に当時の職場で責任のあるポジションに就いていて、上司や会社から信頼されていることも話を聞いていてわかりました。世間が休みの時に働くサービス業で非常に忙しい仕事ですが、自分なりに想いを持って日々働いていることがわかったので、不足しているイメージを補うよりも、当時の自分の働き方を整理して頻出の質問に忠実に答えられるように一貫性を通すやり方に集中するほうが良いという結論が、この印象バランスコントロールのコンサルティングで導き出されました。その結果、日系大手の航空会社に合格しています。
前回同様、あなたも「自分にはどういうふうに当てはめられるか?」と考えながら何度も繰り返し読んでいただき、実際に印象の戦略を考えてみてくださいね。