この記事では、自分の「印象」を整える対策をしたことで客室乗務員試験に合格した受講生の実例を、実際のコンサルティングの流れに則ってご紹介したいと思います。前回までに概要説明をしているので、まだ読んでいない方は次の順番でどうぞ。
目次
合格実例1:Kさん20代 福祉関係
CAに合格するための対策として印象を考える場合、まずは表面的な印象を把握する必要があります。事前に実施していた自己分析を見せてもらってわかっていた、Kさんの表面的な特徴を見てみましょう。
書類上に出る強み
書類上に出る強みは、
・積極的であること
・現職の業務の専門性が高いこと(仕事を通して貴重な体験をしていること)
見た目の特徴
見た目の特徴は、
・明るい
・繊細
話していて分かる強み
実際に話していて分かる強みは、
・感情のコントロールがしっかりできる
・前向きでポジティブ
これらをベースとしたうえで、次の流れで掘り下げて印象戦略を構成していきます。
印象戦略を構成するステップ
STEP1-1 外見イメージを探る
STEP1-2 書類イメージを探る
STEP2-1 不足イメージを探る
STEP2-2 補充イメージを探る
STEP3-1 あなただけの事実に紐づける
STEP3-2 キャッチ-な言葉を探してみる
STEP3-3 全体の構成戦略を練る
STEP4 戦略を練りこんだ文章を作る
1つずつ見ていきましょう。
STEP1-1 外見イメージを探ろう
自分が認知している自分の印象と、実際に外部からみた自分の印象のギャップを探っていきます。そのために、自己分析の他に実際に周囲の人から意見をもらうという作業は欠かせません。
本人の予想・実際に言われたことがある印象:
柔らかい雰囲気、明るそう
ヒアリング結果 :
専門的な仕事と経験、プレッシャーに強い、緊張する場面でも自分らしく楽しさや嬉しさの表現をするのが得意そう
Kさんは柔らかく明るそうな印象を持っていますが、仕事が専門性の高い職種であること・人の命を扱っている職種であることから、その仕事内容を知ることで、多くの人が「彼女は自立心やプレッシャーに強そうだ」という新しい印象を持つことに注目してください。
STEP1-2 書類イメージを探ろう
職業は書類で明記することができるので、Kさんの場合はそのまま高い専門性や自立心をアピールする材料として捉えることができます。更にKさんはプレッシャーに強く、根気があることを裏付けられる仕事での経験が自己分析で棚卸しできていたので根拠も揃っています。さて、ここまでくると、印象についてどんな戦略をとっていけばいいかというのが浮かび上がってきます。
STEP2-1 不足イメージを探る
書類上の情報のみで表されるKさんに不足となり得る要素は、
- プロフェッショナルさ(勤続年数が長くないため)
- 話したときにしかわからないポジティブで明るい感じ
と予想することができます。書類の文字が、丸みを帯びた女性らしい文字であることも、専門性の高い業務の経験が豊富であるようには見えない原因になっているかもしれないと予想することもできますね。
STEP2-2 補充イメージを探る
ということで、補充すべき印象のためには
- 現職の仕事の説明を誰が聞いてもわかりやすいようにしっかりできるようにする
- どんな質問が飛んできても自分の今の働き方や仕事への思いについて簡潔に深く答えられる必要がある
という戦略が浮かび上がってきます。もちろん、印象戦略の対策を取る前までにまとまっていた自己PRや志望動機・転職理由等の内容とも相違や矛盾がないように、全体としての納得感と一貫性は必ず確認してください。
STEP3-1 あなただけの事実に紐づける
Kさんの不足イメージは専門性や経験ということが浮かび上がってきたので、Kさんが持っている実際の経験やエピソードに紐づけていきます。自己分析をもう一度私と一緒に振り返り、相談しながら、棚卸ししていたいくつかの経験の中から、数年かけてお客様と信頼関係を構築したエピソードを使うことにしました。その経験をもとに話すことで経験値の他にも地道な努力ができるというKさんの強みをアピールできると考えたのです。
STEP3-2 キャッチーな表現に置き換える
印象戦略としてアピールしたほうが良いことや、その裏付けとなるエピソードに目星がついたら、それを簡潔に表せるワードに落とし込んでおくと良いです。自分の暗記がしやすくなりますし、伝えたいイメージが面接官にも共有しやすくなるので一石二鳥です。
ここでいうと、Kさんを表す言葉として、
- 地道な努力ができること
- 時間をかけて信頼構築を築けること
を表せる言葉をキーワード的に使うといいんじゃないかということになります。(キャッチーな言葉だけに個人特定がされやすいので、Kさんが実際にどんな言葉に落とし込んだのかの明記は避けます。)
STEP3-3 全体の構成戦略を練る
ここまでで浮かび上がってきた外見イメージ・不足イメージ・補充イメージをもとに、CA採用試験の全選考プロセスでどのように気を配るか、を考えましょう。例えばKさんは、柔らかい見た目が映えるように、特に面接時に自分の持ち前の雰囲気が活かせると考えました。面接室に入る前から笑顔を心がけたり、面接中も他の人が話しているときにも笑顔を崩さないようにしたり、場の空気を読んだ笑顔をするように意識したり…。自分の持ち前の柔らかい雰囲気は残しつつ、書類や発言で仕事の経験値の高さや専門性や自分の仕事への価値観をアピールすることで不足イメージを補填することにしようと考えたのです。
STEP4 戦略を練りこんだ文章を作る
さあ、ここまで来ていよいよ書類を書いていきます。書類に書く内容や面接での発言は論理的で簡潔であることが大前提ですが、印象のことを考慮せずに最初から机に向かって頭を悩ませてしまうのと比べて、こうして試験全体を見越した印象対策を考えてから書き始めると、あなたにとって、合格しやすく的を射た内容が思いつきやすいですよ。
まとめ
ここで取り上げたように、Kさんは「見た目が柔らかく」「専門性の高い仕事に就いていて長期間コツコツ努力した経験がある」という各要素にわかりやすいギャップがあるので印象バランスの取り方としてはシンプルであり、印象戦略をわかりやすく説明するのにピッタリの事例でした。多くの人はこんなに簡単にいかないと思いますが、「自分にはどういうふうに当てはめられるか?」と考えながら何度も繰り返し読んでいただき、実際に印象の戦略を考えてみてくださいね。