客室乗務員試験に必要な準備といえば、自己分析・一般教養・自己紹介・自己PR・志望動機・英会話・身だしなみ…といったところが思い浮かぶと思いますが、それぞれ1つずつを完璧にするのには時間がかかりますし、その必要もありません。1つずつを完璧にするよりも遥かに大事なのは、実は「バランス」だということがわかってきました。何のバランスかというと、
- 実物のあなたが初対面の人に与える印象 と、
- あなたという人物を表すスペック です。
客室乗務員試験を受けるプロジェクトメンバーはもちろん、普段SNS経由でも質問やご相談を多くいただきますが、どんな状況・どんな性格・どんな境遇であっても合格のための方法を行動に落とし込めるようなカタチにしてお伝えしていくことが私のやるべきことだと思っています。そういうふうに意識してきた中で、特に私が注目してきたのは「合格者に共通点はあるかどうか」です。その1つとして、「あなたが持っている印象のバランスを把握し、合格するようにコントロールする戦略をとる」という準備が非常に重要であるということが浮かび上がってきました。これは、冒頭で挙げたような自己分析・一般教養・自己紹介…という単発の対策には収まりきらないので、私が知る限りどこのエアラインスクールもどこのコンサルと名乗る人も教えていません。この記事を見つけたあなたはラッキーです。このやり方をお伝えした方から合格報告が既に何件か届いています。これからいくつかの記事に分けて説明していきますので、どうか読みながら自分に当てはめて考え、実際に行動に移してみてください。
目次
印象バランスコントロールとは
まずはもう少しこの「印象バランスコントロール」について概要の説明をしておきます。
あなたが思っている“普段の自分”、普段人から見られているあなた、応募書類を書いているときのあなた、出来上がった書面からにじみ出る雰囲気、その書類を見た人が感じるあなた、はすべてちょっとずつ違います。更に、書類に通過して面接に呼ばれたとしたら、その面接という特殊な状況の場所で出てくるあなたの特徴と、それを見る面接官が感じるあなたも違うのです。さて、ここまでで既に六人格が出てくる可能性があるのです。
- 普段自分が思っている自分
- 普段人から見られる自分
- 書類を書いている自分
- 書類を見た人が感じる自分
- 面接を受ける自分
- 面接官が見る自分
これまでサポートさせていただいた合格者を見ていて、書類や面接というそれぞれの機会において、自分が一番有利に見える自分を出せる人がすんなり合格しているということに気が付きました。これを、意識しないでできる人も存在します。でも、意識したことによって合格を掴んだ人もいるのです。ということで、私が1つの「合格対策」として確立させました。
印象をコントロールすることが重要な理由
一般的にはこんなことをエアラインスクールでは対策してくれないし、同じようなことを言っているコンサルタントの他の人も見たことないので、やり方の前にまず、印象バランスコントロールがどれだけ大事かということを簡単に説明しておこうと思います。
同一試験での合格者と不合格者の差は何か
客室乗務員の試験は年中どこかの会社が不定期に募集を出していますが、そんな中で、日本航空(JAL)と全日本空輸(ANA)の試験は日本のほとんどのCA志望者が受験する代表的な試験です。その試験で合格したプロジェクトメンバーと不合格だったメンバーの2人にどんな違いがあったのかを調べることで、多くの人に適用できる「対策法」が浮かび上がると検討をつけました。そこで、全く同じ採用募集の試験を受けた合格者と不合格者に、試験直後にレポートを提出してもらったり、詳しくヒアリングしたりしました。比べた項目は以下のようなものです。
- 本人の学歴、職歴などのプロフィール
- 見た目
- エントリー書類の内容
- 一次面接で発言した内容
- 自己PR・志望動機・自己紹介
そしてわかったのが、2人の間に、学歴、能力、スキル、表現力、語彙力などの大きな差がまったくといっていいほど見られなかったということです。では、何が合否を分けたのでしょうか?
よくよくヒアリングしていくと、合格した人は、自分で気づいているかどうかは別として、本人が自覚している自分と初対面の人から持たれる印象にギャップがもともと少ないか、意識してギャップを埋めるような戦略をとっているか、有利だとわかって敢えてギャップを表現しているということがわかったのです。こことても大事なのでもう一度言います。合格している人は実物の自分と初対面の人に与える印象について、下記いずれかに当てはまったのです。
- ギャップがもともと少ない
- 意識してギャップを埋めるような戦略をとっている
- 有利だとわかって敢えてギャップを表現している
面接官は「会話」をしているんじゃなくて、明確に聞きたいことや知りたいことがあります。そういう面接官の質問の背景とか意図をくみ取って、事前に書類を見ている(はずの)面接官が、自分の何を聞きたいのか、どういうところを知りたいのかということを分かっていて、面接で的確にそれに応えられているというのが合格した人の特徴です。この合格した人の特徴を、それまで不合格が続いていた人に当てはめてアドバイスしたら、合格率が上がったのです。
印象バランスはやるべきことの99%を決める
というわけで、CA受験においては「印象」というのを必ず対策として考える必要があるということです。自分が普段感じている自分の印象と、初対面の人に与える印象、書類を見た人に与える印象等々…を把握して戦略が取れるということは、自己PRに何を書けばいいのか、志望動機や自己紹介はどう構成すればいいのか、が自然と見えてきます。自分で自分の何をどういう風に見せればいいのかが導きやすくなり、選ぶべき言葉や、何を言えばいいのかまで自然に決まってきてしまいます。
印象バランスを決めるステップ
具体的にどんなふうに印象バランスの戦略を考えれば良いのかをここから書いていきます。
まずは応募書類を書く時点(エントリーをする時点)で、基本的な3つのあなたを考えます。
- 普段の生活を送る素の自分
- 人から見られやすい自分
- 書類上に表現される自分=戦略的に合格しそうな自分
この3つにはほとんどの場合ギャップがあるはずです。そのギャップは何か、そして、それをどう埋めるのが合格に有利だと思うのかを考えます。その時、応募企業が一体どんな人材を求めているのかという企業研究が役に立ったりします。客室乗務員試験という範囲の中で考えた時に、まず対外的に採用側の目に触れる書類上で素の自分とかけ離れすぎた自分を表現しても、後でボロが出るだけではありますが、大きな相違なく自分をよく見せることも世の中を渡っていくには重要な考え方です。そのバランスを取っていくのが印象バランスコントロールの真骨頂です。
次の段階は、
- 書類上に表現される自分=戦略的に合格しそうな自分
- 面接で見せたい自分
のバランスを取ることです。書類で見せた印象と、面接で実物のあなたを見た時に与える印象が違いすぎていたら、それは当然面接官に違和感となって映ります(これが一概に悪いとは言えません。敢えてギャップを見せることが有利になる人もいるので。それは自己分析次第です)。
こういったすべての要素を踏まえたうえで、自己PR・自己紹介・志望動機・転職理由等々に一貫性を持たせることで、素の自分とあまりかけ離れていないところにある理想の自分を受験する自分として表現することができるようになっていくんですね。
意外と重要なポイントは、等身大の自分と乖離しすぎないようにすることではなく、準備の段階から自分がどういう印象で見られることが合格に有利なのかというのをまず自分で目標として定めることです。あなたにも「なりたい自分の理想像」ってあると思います。面接の緊張感やプレッシャーに支配されてしまって必要以上に自分を良く見せようとしたり思ってもいないことを緊張から口走ってしまったりする懸念もありますが、さっき言ったように「ほどよく、自分を良く見せる」のは世の中を渡り歩いていくために身につけると役立つ処世術でもあります。準備段階から理想を設定し、戦略も兼ねてそこに近づくための努力をすることは、それ自体がCAに合格する重要な近道でもあります。
まず何からやればいいか
印象戦略を考えるためには新たに自己分析をすることをおすすめします。が、その前に今まで受験した自己PR・志望動機・自己紹介を引っ張り出してきてください。ない人は、今から受けようとしている応募企業に対する自己PR・志望動機・自己紹介をドラフトでいいのでざっと書いてみましょう。
その後、違う記事でご紹介する12のアイディアをもとに、自分本位に向きすぎている思考のベクトル変えて自己分析する時間を取ってください。自分だけで自己分析していても印象バランスの戦略はとれるはずがないからです。そうやって「内から認識している自分」と「外から見た自分」の材料が揃った段階で、これまた違う記事で説明するステップで印象バランスの戦略を練ることで、面接で見せると有利な自分というのが確立していく流れになります。
最後に
印象バランスが一番磨かれる方法は、常に受験という本番を経験することです。その中で印象バランスが磨かれていきやすいからです。CA受験は不合格になった場合にフィードバックがもらえませんが、場数を踏んでいくことで五感を伴った経験が積み上がっていくと、それがたとえ不合格でも、対外的に印象の良い自分・バランスがとれた魅力的な自分を作っていく手掛かりになっていきます。それが感覚値です。準備し続けても合格はしない、という当たり前のことを付け加えておきます。