合格に必要なのは「一貫性」です。
この記事を読むことで、
- 転職理由や前職の退職理由がまとまらない。聞かれると弱い。
- 自分の中に軸ができていないと感じている。
- 自分なりに準備しても、面接で深堀りされると頭が真っ白になりがち。
- 自己分析をどのように活かして自己PRや志望動機に落とし込むのかがわからない。
といった悩みを持つ方が、自分のアピールに軸を見出し、芯の通った応募書類を作ったり合格に導く面接での発言を考えることができたりするようになります。また、一貫性には志望動機や転職理由も含むので、
- すでにCAとして働いていて、別の会社への転職(トランスファー)を視野に入れている
という方にも必ずお役に立てる記事です。
あなたが一貫性を持つには、まず、各採用段階で面接官が知りたいことや本来の意図は何なのか・それぞれの選考段階における違いやその背景にあるものを前提として知っておくと非常に効率が良いです。それについて解説した記事はこちらです。本記事は、その記事の続きとして読んで頂くことで、具体的で的を得た合格のための対策に繋がります。(ここで解説していく一貫性を作る重要性とその方法は、本来はその記事の流れの中でお伝えするべきなのですが、とても長くなってしまうので2つの記事に分けました。)
この記事の内容ダイジェスト
- CA合格に必要な「文章・発言の一貫性がある」とはそもそもどんな状態のことか?
- 合格者と不合格者の志望動機・転職や退職理由の違い
- 一貫性を作る自己分析ワーク5ステップ
- どうしても一貫性が無い!という人のための逃げ道
一貫性=この3つがロジカルに繋がること
CA合格に必要な一貫性というのは、採用側が知りたいことのうち、
「転職理由」「志望動機」「あなたの仕事上の価値観」が論理的につながっていること
を指すと考えてください。もちろん、試験ではこの他に様々な要素が様々な段階を通して審査されているわけですが、人柄・話し方・対人コミュニケーションスキルがわかる自己紹介よりも、何をしてきて何ができるかという自己PRよりも、「転職理由」「志望動機」「あなたの価値観」の3つが論理的につながっていることのほうが合格のためには重要だと考えても良いくらいだと私は考えています。
落ちる転職理由や志望動機
ちょっとここで、話をわかりやすくするために、合格できない転職理由・志望動機から挙げてみます。聞いた人がほとんど納得できない(採用しようという理由には繋がりにくい)ものとして下記のようなものがあります。
- 今の不満を解消したいから
- 今の仕事を辞めたいから
こんなにあからさまに本音を言うわけないじゃん!と思う人もいるかもしれませんが、「今の不満を解消したいから」という理由が透けて見える域を脱していない文章や発言になっている人って意外と多いんですよ。ただ、転職の至上命題はより良い働き方を目指すことであり、もちろん今の仕事に不満があるからみんな転職したいわけなので、動機的に間違いだと言っているわけではありません。ここを嘘で塗り潰そうとしてしまうのは、全体としての一貫性を見出すのがとても難しくなっていくのでおすすめしません。ですから、どうやってこの本音を合格する一貫性につなげていくのか?を考えなければいけませんよね。
受かる転職理由や志望動機
結論から言うと、納得度の高い転職理由・志望動機には「あなたの今後の目的」「応募企業の将来性に関する言及」が含まれています。さっき言ったように、どんな人でも、CAになりたい云々以前に、転職するということは今の状態に満足できていないというネガティブな動機があります。そのネガティブさを自分で掘り下げていないと(自己分析不足)合格できる一貫性を作ることはほぼ不可能です。「CAになりたい理由」ばかりを探して迷ってしまいがちですが、それよりも、
- 「CAになれないと嫌な理由」
- 「今の仕事では自分が満足できない理由」
- 「じゃあどうなったらいいのか」
- 「CAとして自分は何をしたいのか」
というふうに、ネガティブな本音の転職理由をポジティブに昇華させるように自己分析していきます。採用試験は、過去や現在のあなたの実績やスキルよりも未来のポテンシャルを感じさせることのほうが合格に有利なので、そういうふうに自己分析して「御社でやりたいこと」に言いたいことを集約させていくことが合格の秘訣なのです。更に、そのやりたいことができる環境なのかどうかはあなたと会社の双方にとって重要なので、ここで企業研究が役立ちます。それら(自己分析と企業研究)のピースを「転職理由」「志望動機」「あなたの仕事上の価値観」とう設問の回答になるようにはめていくと、あなただけの一貫性が作られていくのです。(つまり自分と会社のマッチング作業が転職なんですね。)では、具体的にどのように一貫性のある転職理由・志望動機を導いていくのか、そのステップを示します。
あなたの中に一貫性を作る方法5ステップ
STEP1.「今のまま」に対する不満を書き出す
まず、「今のままだと嫌だ」っていうあなたの不満を正直に書き出します。CAになりたい人は、いつも考えてきた「CAになりたい理由」というよりも「CAになれないと嫌な理由」を自問することで出てきやすいです。ネガティブな思いや、人にはあまり知られたくないネガティブな本音も、ここできちんと書いておかないと結局合格する一貫性が作れません。
STEP2.今後の目的や将来やりたいことを書き出す
STEP1で書き出した本音をもとに、「じゃあどうしたいの?」「どうなったらいいの?」と、さらに自問します。出てこない人は、STEP1で書き出したことに対して「なぜ?」と繰り返し掘り下げていくことで自分がどうなりたいのかに気づきやすいのでおすすめですよ。
より具体的に書き出す方法
これまで私がコンサルティングをしてきた経験からいうと、STEP1の「今のままだと嫌だという不満」は多くの人がすぐに書き出します。でも「じゃあどうしたいの?」「具体的に何がしたいの?」と、今後の目的を聞くと、ほとんどの人は急にペンが動かなくなります。ですので、ここでは更にSTEP2についてどういう風に考えると良いかを提案しておきますね。
STEP2-1.
遠回りに感じると思いますが、STEP2がなかなか出てこない人は、自分自身の人生やライフスタイルやキャリアに思いを拡げてみましょう。CAになるならないは関係なく、人生がどういうふうになったら良いですか?どんな人生を送りたいですか?長期的⇒中期的⇒短期的の順番で、理想やこうなったらいいなという状態をノートに書き出してください。その後、それぞれの横に「そのためにはどうしたらよいか」を考えて付け加えてください。
STEP2-2.
それができたら、隣の新しいページに、客室乗務員としてどうなりたいのかを長期的⇒中期的⇒短期的の順番で、理想やこうなったらいいなという状態を書き出していきます。職種を限定したのでさっきよりも具体的な表現になるはずです。こちらも、それぞれの横に「そのためにはどうしたらよいか」を考えて付け加えていくのです。
STEP2-3.
さらに今度は、また新しいページに応募する企業の客室乗務員としてどうなりたいのかを同様に長期的⇒中期的⇒短期的の順番で書き出してみます。具体的に考えるヒントにしてほしい問いは下記に挙げておきます。
- 長期的に、その企業で長期的に何を実現したいのか(応募する会社の企業研究をヒントに)
- そのために、中期的にはどういう働き方・ポジションを目指したいのか
- そのために、日々どんな姿勢で業務にあたりたいか
これらをロジカルに表現することができるようになるだけでも、どんな質問が来ても答えられるようになります。例えば「自己PRをしてください」は、ここで明確にした「短期的な日々の業務で自分が何ができるか」を、これまでの実績や経験を裏付けにして表現することと同じです。
STEP3.STEP2の理由、動機を掘り下げる
次に、STEP2で出した今後の目的ややりたいことに対して「なぜ?」と理由や動機を掘り下げていきます。例えば、今後の目的として「もっと接客がしたい」「接客を極めたい」と思ったとします。それに対して「なぜ今の状態だとそれができないのか?」と考えるのです。そうすると、例えば「LCCが台頭して業界全体が成熟しすぎてきている中で、今いる会社だと自分の“サービスを極めたい”という挑戦が難しいと感じてきた。」という自分の感覚が整理されて言語化されるかもしれません。
STEP4.なぜ今の仕事ではそれが実現できないのかを整理する
今の環境ではSTEP2で出てきたことをどうしても実現できない理由は何なのかを考えます。更に、なぜ今応募しようとしている仕事に就けば(ここでいうと、CAになれば)それが実現できると思うのかも掘り下げましょう。
例えば先ほどの例を続けると、今の環境ではサービスにおける挑戦が難しいと感じているわけですが、実際にそれに対してアクションを起こしたのか(会社や上司に直談判したけど駄目だったとか)を振り返り、現状では解決できない根拠を探す必要があります。逆に、希望している会社に行けばそれができそうだと感じる根拠は何なのかも整理します(そういう社風だということがホームページの情報から分かるとか、実際に働いている人から話を聞いたとか)。
STEP5.論理的につながるように文章化する
ここまで掘り下げてきた材料を、論理的につながるように文章化します。構成のイメージはこんな感じです。
- あなたが中長期的に実現したいことは何かを言語化する
「私は◯◯がしたい、◯◯のような人になりたい、◯◯のために役に立ちたい」 - 今のままではそれができない理由や根拠や想いを言語化する
「しかし、今のままでは◯◯ができないとわかった」
「もっと◯◯したいと思っている」 - 応募企業に入社してCAとして働くことでそれが叶う理由や根拠や想いを言語化する
「だから御社で働きたい」
「だからCAとなって◯◯の役に立ちたい」
という感じ。3つはロジカルに繋がるはずです。どこかで引っ掛かってしまう人(例えば1と2の間に対立関係や矛盾が当てはまらないとか、2と3が繋がらないとか)は、自己分析の掘り下げが足りていないということです。1つ1つについて「なぜ?」深堀りして一貫性を見つけてください。
一貫性がどうしても作れないときは
一貫性を作ることがどうしても難しいという人もいます。例えば、
- 転職理由はネガティブなことしか出てこない
- 自分の人柄や印象に強いコンプレックスがある
- 履歴書に書ける経験や経歴がまったく無い
- そもそも動機が矛盾していることに気がついてしまった
- とにかく今の仕事を一刻も早く辞めなければならない体調的な理由がある
- とにかくCAにならないと気が済まなくなってしまっている(他の理由が一切ない)
というような方です。
本来は、多少時間をかけてでも一貫性を見つける自己分析をしたり、私のようなコンサルティングをしている人に相談したり、身近な尊敬できる大人や先輩に相談したりして、きちんと冷静に自分の将来や人生やライフスタイルやキャリアプランを練り直す必要があると思いますが、直近で試験が迫っている!とか、時間がない!という人のために、対応策も紹介しておきたいと思います。
採用試験は自分の過去・現在・未来を見せる場所
採用試験は自分の過去・現在・未来を様々なカタチで表現する場所であり、そこに一貫性が問われます。しかし、一般に、過去や現在のあなたの実績やスキルよりも未来のポテンシャルを感じさせることのほうが合格に有利である傾向があるようです。この傾向はデータとしても発表されています。
【参考】2012年にハーバード大学が調べた研究です。75名の学生を集めて就職活動に対する架空のシナリオを想像させます。企業の面接官になったところを想像し2つのグループでどちらのほうが印象が良いのかを判定しました。
達成グループ(すでに2年間の職歴も必要な資格も持っていてリーダーシップテストでも高得点を取っていて既に有している経歴を紹介されたグループ)
ポテンシャルグループ(仕事の経験こそないがリーダーシップテストでは高得点を取っていて可能性は期待できると紹介されたグループ)
に分けてどちらを採用したいと思うかを調べました。
普通に考えると、どちらもリーダーシップテストでは高得点を取っているのでどちらかというと職歴のある方を選びそうですが、結果は職歴のある人よりも未知の可能性のあるという意味で②ポテンシャルグループの方が人気でした。https://daigoblog.jp/construction-firstimpression/
会社側にも利益や社会貢献等の目的があり、自分たちと同じ方向を見て一緒に利益を追求できる人を採用したいので、価値観や将来性を見せるほうが、過去に輝かしい実績を持っていることよりも重要である場合があるようです。特に客室乗務員の場合、保安上の理由から業務が会社ごとに全く違うということはありえないので「絶対その会社ではないといけない」志望理由は作りにくいものです。もちろん、過去に輝かしい実績を持っていたり現在までにCAとして絶対に必要とされる能力を身に着けているという人はアピールすることに越したことはありませんが。すべてを完璧にしようとしなくていいので、過去・現在・未来の自分を表現する場合、どの自分のことであれば一番自信を持って表現できるのか?と考え、そこの言語化を強化していきましょう。
まとめ
CA受験という枠を取り払ったときに、あなたが送りたい人生や、なりたい理想の自分はどんなものでしょうか?「CA受験に必要だから」という緊張感の中では頭も固くなってしまうので、これからのあなたのライフスタイルやキャリアプランについて高い視点から考える時間をとってみてほしいと思います。それが結局、合格できる一貫性のある文章や想いに落とし込んでいく土台となるからです。