目次
1. はじめに
1−1.すべてのESには同じ「型」がある
ほとんどの客室乗務員試験で「エントリーシート」が要求されます。各社それぞれの様式・フォーマットがあり、それぞれ全く違う質問で構成されていても、エントリーシートを通して採用側がチェックしたい部分と受験者が聞かれている核心部分・本質は実は同じです。
1つ1つの会社のエントリーシートの書き方を採用募集が出る度に解説することももちろんできますが、結局は、どの航空会社にも広く対応できる核心部分・本質部分の解説をすることで、これを読んでいるあなたがどんな会社にもどんなタイミングで出る募集にも対応できるようになるので、今回この記事にまとめることにしました。
とはいっても、話が抽象的になりすぎないよう、今回はその「核心部分・本質部分」の要素を満遍なく取り入れている日系大手航空会社の実際のエントリーシートをモデルにして解説していきます。この会社のエントリーシートの設問は、良い意味でひねりのないわかりやすい設問が揃っているので、練習用に使うことで合格力は飛躍的に上がるでしょう。この記事の内容とぴったり合わせたワークシートを含む、ES準備特別コースをこちらから受講できます(期間・人数限定)。印刷したワークシートを見ながら読み進めていくことでより具体的な対策ができますのでご活用ください。それでは始めていきます。
1−2. 今回モデルとして使うESの概要
1−2−1.航空会社
日系大手J社
1−2−2.募集対象者
既卒採用試験
1−2−3.応募方法
WEB提出
1−2−4.設問数
7
1−2−5.このESの全体的な傾向と特徴
郵送提出ではなくWEB提出で、設問数は少なめではあるものの、応募者の人柄やスキルから志望動機に至るまで受験者のことが広く深く審査できる、かなり濃い内容を求められています。
1−2−6.通過のポイント
- 自分の中の数ある経験/エピソードの中から効果的に自分をアピールするために適切なものを選ぶための自己分析がしっかりできていること
- ES通過だけでなく面接での合格も見据えて1の経験/エピソードの構成を練っていること
- 全体の設問の流れと最終的に相手に与えるであろう印象を意識して各設問への回答内容やその順番を考えていること
1−3.合格するESを書くためのベース作り
1−3−1.ES通過から面接合格まで一貫して「いちばん重要」なこと
この記事では、会社側の設問の意図を把握し、私たち受験者が合格するためにはどういう風に考えて回答を作成すればよいのかをお伝えしていきます。「面接に呼ばれて⇒面接通過し⇒合格する」ところまで想定したエントリーシートの書き方を指南していくわけですが、一番最初に一番大事なことを言います。エントリーシートであなたが何を一番大事にして自分をアピールしたらいいか(回答に答えていったらいいか)というと、ズバリ『この人と一緒に働きたい』と思われるようなエントリーシートにすることです。
この記事は私自身が書類通過率100%にまで高めた中で考えてきたことと私のアドバイスによって合格したクライアントを見えてきたことをもとに書くのですが、就職活動のあらゆる局面&あらゆる採用ステップで会社側が審査したいのって、究極的に言うと、
- 目の前にいるこの人と一緒に働きたいかどうか
- 目の前にいるこの書類を書いた人と一緒に働きたいと思うかどうか
っていうところに行き着くと感じています。ですので、「自分はどういう風にアピールしたら自分と一緒に働きたいっていう風に思ってもらえるか」というのを意識しながら読んでみてください。
1−3−2.すべての業界・職種の就活で抑えるべき”合格する文章”の前提
「ESの書き方」について話すためになぜこんなに前置きが長いのかといいますと、実は応募書類を書く前から合否が決まっていると表現しても言い過ぎではないほど、企業の提示するESの設問は厳選されていますし人選のために核心を突いているものになっているからです。つまり、答える側としても、ESに書く内容の「ベース」「土台」になるものがどれだけ精度高く自分の中で整理できているかが、ESの書きやすさや通過しやすさを左右するということです。
その「ベース」「土台」とは、自己分析です。どの業界でもどの職種でも就職活動・転職活動において重要とされる自己PR・志望動機・転職理由と、面接での自己紹介・履歴書・簡単な質問に対する回答で審査されるあなたの人柄・価値観・印象―、就職活動で必ず重要視されるこれらの要素は、ESを書く前にどれだけ精度高く固まっているかが、合否を分けるのです。その理由については後ほど説明します。今回、この会社のESをモデルにした理由も、そういった「どんな会社の試験でも必ず重要視されるテッパンの要素」が満遍なく、しかも過不足無く散りばめられているものだったからです。冒頭で言ったように、今は航空会社ごとに様々な形式・質問のESがありますが、このモデルを一通り練習することで、どんな航空会社のESにも対応できるでしょう。
そういった意味で、まだこのベースの部分を確立できていない人はそれぞれの項目のブログ記事やコースを参考にしてワークに取り組んでおくことで、どんなタイミングで採用募集が出ても即座に中身の充実した書類を提出することができますのでそちらにまずは取り組んでください。参考コースも各所に記載しておきます。
書類通過のためのESは、つまり「面接に呼びたいと思われるES」です。そのための他のポイントを箇条書きにしておきます。
- あなたが世界を見るフィルターや生き方の価値観を知ることができる
- スキルや経験はシンプルに見やすくまとまっている(究極的な審査対象ではないため)
- 自分の言葉で書いている(パンフレットのように綺麗にまとまりすぎていない)
- 使うエピソードの事実説明に終始していない
書類が通過しない人の書類を見せてもらうと、大きな特徴の一つとして「パンフレットのような文章になりがち」というものがあります。それがなぜダメなのかと言うと、その人自身のその人らしさが全然見えてこないからです。このポイントを満たすために重要なのは言うまでもなく自己分析の「やり方」です。自分の経験とかスキルの棚卸しにおいて、自分の経験そのものを書き出すことだけが自己分析だと思っている人がいますが、単純に書き出すだけじゃなく「なぜ自分はそれをやろうと思ったのか」とか「どうしてそれをやろうと思ったモチベーションが湧いてきたのか」っていうところにフォーカスして深掘りしてください(宣伝になって申し訳ないのですが、すべてを満たすための完全な自己分析は自己分析のオンラインコースに集約していますのでそちらをご覧ください。)そこにエピソードをつけて自己PRにしたりとか志望動機にしたりとかしていくことが自己分析が本当に活かせて合格にも繋げられる書類作成の基本になります。
また、私がよくいただく質問で以下のようなものがあります。
- 「自己PRや志望動機を書いてみたのですが誰でも書ける内容になっていると思うんです」
- 「ありきたりな内容になってしまいがちでアピール力がないと思うんです。」
- 「どうやったらオリジナリティを出せるのかわかりません。」
この「誰でも書ける内容」とか「ありきたりな内容」ってどういうこと?と逆に質問してみると、次のような答えが返ってきます。
- 「私は今、◯年続けて◯◯の仕事をしているんですけど、自己分析をしたら私と同じ職種の人だったら誰もが持っているような強みが自分の中に出てきています。それって結局は誰もが持っている強みだからアピールにならないんじゃないでしょうか?」
- 「このくらいの歳なら身につけていて当然のスキルを自分をアピールしようとしています。これじゃアピール力が弱いんじゃないでしょうか。」
こういったことを多くの人が「誰でも書ける内容」とか「ありきたり内容」だと思っているのですが、実際にそういう人たちの文章を見せてもらうと、欠けているのは能力の高さとか有力のインパクトとかではありませんでした。「なんでそれをやっているのか」とか「そこにあるその人の想い」とか「フィロソフィー」とか「仕事の哲学」とか「人生哲学」に関する言及が全く無いか、とても弱いのです。そういう人たちが思っている、「このくらいの歳ならこれができて当たり前だろう」とか「新卒ならこうだろう」とか「既卒でまだ1年も働いてないならこうだろう」…、これらは全部思い込みだと思ってもらって良いです。面接ではそういうところが他の人と比べられるんじゃなくて、その人の人柄がしっかり見えるかどうかのほうが重要だからです。
極端に行ってしまえば、誰もが持っている強みを自分の強みとしていても全く問題はありません。それよりも、
- そこに自分なりの思いがあるか
- 自分なりのきっかけをきちんと説明できるか
- どれだけその部分からCA職に関する自分の将来性を語れるか
などが重要視されます。そこに、冒頭で言ったあなたの世界を見るフィルターとか生き方の価値観というのが滲み出てくるのです。なので、ESを書いてみて「これって誰でも書ける内容じゃないか?」とか「ありきたりな内容になってるんじゃないか?」と不安になった人は、まず、回答が事実説明に終始していないか?というところをチェックしてください。もしそうなってしまっていたら、もっと「モチベーション」や「動機」の部分まで掘り下げてる自己分析をやり直してください。
参考記事:
参考コース:
1−3−3.WEBエントリーの証明写真のポイント
証明写真は身だしなみのジャンルに入るのでここでは割愛しますが、ESがWEB提出の場合は画像サイズ(ピクセル)と拡張子が指定されていることが多いです。その他にも条件が指定される場合もありますので、全ての条件に合うような写真データを用意しましょう。書類の内容以前に、基本的な条件を、忠実に徹底的に守るということも合格のためにはすごく大事です。(※わざわざ書いている理由は、指定条件に合わないものを提出して不合格になっている人が意外と多いからです。)
1−3−4.指定文字数についてのポイント
まずパソコンやスマホのメモ帳を使って回答のためのブレインストーミングと下書きしておくことをお勧めします。ここでポイントは2つ。1つ目は、基本的に指定文字数の80%以上を使い切るような文章にまとめるということです。会社側には理由があってその文字数にしています。例えば「まず概要を200文字で説明してください」という設問があれば、たとえ50文字でまとめることができたとしても、80%(160文字)以上ぐらいを目指して概要説明をするということです。すべての設問において指定文字数の80%から100%を使い切るような文章にするというのは、私が通過した試験で守ってきたことであり、合格したクライアントにもアドバイスして実際にやってもらったことです。
2つ目のポイントは、写真の印象とESに記載する内容の全体のバランスを見ながら戦略的に回答枠を埋めていくことです。エントリーシートは、面接の前段階での「あなた」を表す分身のようなものだからです。印象のバランスを考慮することで、自分がアピールしたい自分を効果的にアピールできるように文章の内容を考えたりとか写真をどういうスタイルにするかが自ずと決まっていきます。この「印象バランス」については後ほど詳しく説明します。
参考コース:
1−3−5.ESの”注意事項”の落とし穴
募集要項やエントリー画面に記載されている注意事項は必ず守ってください。
注意事項として代表的なもの
書類郵送の場合
- 手書き・パソコン入力の指定があるかどうか
- カバーレターの有無
- ペンの色の指定 など
WEBエントリーの場合
- 特定機種依存文字を使わないこと
- 文字数に関する指定
- PCブラウザで「戻る」ボタンが使えるかどうか
- データの保存について など
おそらくこの記事を読んでいるあなたはすでにCA受験の経験があると思うのですが、こういう基本的なところや小さなところをまず守るというのが意外と書類通過のために大事なので敢えて書きました。この注意事項を守るためにも、まずはしっかりと下書きをしてから、確認しながら書類を作っていきましょう。
2.設問ごとの解説
2−1.設問1〜3
設問1〜3では、あなたの簡単なプロフィールやバックグラウンドを聞いています。ESの構造的には(設問の順番的には)始めに来ているんですけど、設問4〜6の内容&設問7の写真の印象を踏まえた上で全体のバランスをとるための要素が設問1〜3であると考えると何を書けばよいのか自ずと決まってくるはずです。私ならそういうふうに考えますしクライアントにもそうアドバイスします。例を挙げて説明しますね。
例えば私に置き換えて話すと、私の見た目は「可愛らしい要素」とか「従順な感じ」とかが全然ないんですが、一方で、経歴やスキルがわかりやすく、アピールしやすいものを持っています。仮に、自己分析と企業研究から『この試験では自分に柔らかさとか親しみやすさを出したほうが合格に有利かも』と見出だした場合、設問1〜3にある【趣味】や【特技】のところに、柔らかさや親しみやすさを彷彿とさせるもので自分が持っている要素を入れるというアイディアが出てきます。つまり、自分が答える設問4〜6の内容&設問7の証明写真から相手に与えるであろう印象をもとに「どういう風に自分をアピールしたいか」と考え、それを強調したり、逆に補充するイメージを考えるのです。
どういう風に自分をアピールしたら有利なのかは、それぞれが持っているスペックや人間的な魅力や印象と受験の戦略によって変わってくるところなのでここでまとめることはできませんが、設問1〜3はそういう「調整」の意味も含めて考えていくと何を埋めるべきかが見えてくるので参考にしてくださいね。
2−2.設問4
設問4から、本格的に自己PR/志望動機/転職理由を詳しく聞かれる設問になっています。
★あなたがこれまでに最も力を注いで取り組んだことを入力してください。
※現職を含む、就業経験に関わる事柄でも構いません。
※改行せずにご入力ください。※200文字以下
★上記について、「なぜ力を注いだのか(理由)」・「何を目指し、どのように行動したのか(目標・行動)」・「何を実現したのか(成果)」・「その経験は現在どのように生かされているか(現在)」の順で具体的に入力してください。
※改行せずにご入力ください。※300文字以下
これはつまり、あなたのスキルと経験・物事に向き合う時の人柄を見ることができる設問です。ただ、この後の設問5でもある意味「人柄」が聞かれているので、このES全体として自己PRを2つ用意し、この設問4では【自己PRの1つ目】を答えると考えて構成するのがポイントですね。
答える要素が多いなあと圧倒されてしまう人もいると思うので、まず整理してみましょう(ESを全体的に俯瞰したり整理したりしながら書き進めることは、どの会社の試験においても的確に整然とした答えを作るためにとても有効ですよ!)。
まず前半では、「あなたがこれまでに最も力を注いで取り組んだこと」の概要を説明します。後半では、「その力を注いで取り組んだ理由・目標・それについておこなった行動・成果・現在どのように活かしているか」を述べます。前半後半ひっくるめて、この質問全体の意図は【あなたがどんな経験があって、どういう考え方をする人で、何を実際にしたのか、そして今何ができるのか&今それをもとにどういう風に生きているのか】であり、さらにもうちょっと踏み込んで言うと、
- 会社側が求めている人材像にリンクする人なのかどうか
- 会社の方向性やカラーに合ってるかどうか
ということも見ることができるようになっている設問です。深いですね。ですので、ここでのポイントは
- 自己分析やセルフファインディングワークで自分自身のあなたのも経験とか実績がしっかりと棚卸できているか
- その分析結果を自己アピールのために整理できているかどうか
- 会社側が求めている人材像や会社の方向性にリンクしているか
です。こうして分解して整理してみると、この設問は、あなたの”実際の経験”という事実を基準にして、「そもそもなぜそれに力を入れたのか」「今どういう風に生かされているのか」というふうに時系列でとても広い範囲のことを回答させる設問になっていますよね?これは、あなたが実際にここでピックアップする”取り組んだ事柄”における想いや、現在に繋がっていること(今どういう風に活かしているか等)を回答させることで、中長期的にあなたの価値観を見ることができるようになっているんです。これで会社側が何を見ることができるかというと、
- この人を雇用したらうちの会社で活躍してくれるか?
- 一旦雇用したうちの会社で長く働いてくれるか?
というようなことです。単純に「力を入れたこと」を単発で答えさせるのではなく、事実を基準として周辺的なことまでまとめて聞いてくるのには理由があるというわけです。
こうしたことを踏まえると、自己分析では、事実や経験を棚卸しする際には下記について書き出すことがポイントになりますよね。
- その出来事のきっかけや選んだ理由
- どういう風に行動をしたか
- 当時、何をどんなふうに考えたか
- どんな成果が出たか
- それを今にどう生かしているか
- 自分が物事持っている中長期的な価値観の傾向
- 人生で起こるいろんな物事に対する向き合い方
こうしたことを書き出すことで、あなたらしく、且つアピールしたい性格が出ている経験やエピソードを回答として選ぶのことができるようになります。
ここまで解説してきた”自分の中長期的な物事の見方を分かりやすく人に表現する”ための言語化が難しいという方におすすめのアイディアが2つあります。1つは、「困難だったこと」とか「苦しかった事」をエピソードとして選ぶことです。あなたがラクラクできてしまうことや無意識で何も考えずにできてしまうことよりも、難しいと思ったことやチームにとって苦しかった事を「どういう風に乗り越えるか」っていうところに、あなたの価値観とか世界を見るフィルターが現れやすいからです。なぜそれに向き合ったのか、どう向き合ったのか、どう乗り越えたのか、今どういう風に活かされているかという視点で自己分析してみると自己PRになる文章が浮かびやすいはずなので試してみてください。
アイディアの2つ目は、自分以外、つまり同僚やチームやお客様に対して「どんな影響があったのか」という視点で経験やエピソードを探してみることです。というのも、働くというのはそもそも本質として「誰かのため」であったり「会社の利益」であったりするからで、そういう部分をエピソードとして探すことで間接的にあなたのスキルや価値観を表現することが出来るのです。このアイディアの素晴らしいところは、あなたがチームで働くことが聞く人にとって想像しやすいという利点もあることです。チームで働くことを効果的に表現できることはCA合格に欠かせない要素でもあります。
2−3.設問5
★あなたが仕事をする上で大切にしている価値観は何ですか。具体的に入力してください。
※改行せずにご入力ください。
※300文字以下
この質問は、どストレートにあなたの価値観を聞いています。物事に対する姿勢を聞くことで、あなたの人柄を知ることができる設問です。【自己PRの2つ目】と考えていいと思います。
ここでは「仕事をする上で」という条件付きなので、つまりは【あなたが働く根底の理由】を探りたいってことです。そこが会社のカラーと合っているかどうか、一緒に働きたいと思えるかどうかというのはすごく重要な審査材料になるはずです。なので、もちろん企業研究で会社の向かっている方向とかは会社のカラーとかっていうのを知るということは大事なんですけど、それ以前に、自分の価値観をしっかり自分の言葉で語ることができるようにしておくことが重要です。ですのでやっぱりここでも自己分析とかセルフファインディングワークがモノを言うわけですね。
多くの人の回答を見せてもらって見えてきた傾向があります。ここが『価値観の説明』のみで終わってしまっている人が結構いることです。質問に対してダイレクトに応えるという意味ではそれでも間違いではないのですが、ここでは「300文字」も指定されています。私がもし回答するとしたら、目に見えない価値観というものが、実際に形になった経験や、数値化された成果など、聞いている側がイメージしやすいようなエピソードを必ず盛り込みます。そうすることでその価値観が実際に生かされていることが現実味を帯びた証拠となりますし、全体の納得度がすごく上がるからです。実際に形になったり現実になっているエピソードとして、”チーム”や”お客様”に良い影響が与えられたエピソードが出てくると尚良いです。
冒頭で言ったように、面接で採用側は「一緒に働きたい人・うちで長く健全に働いてくれる人」を探しています。もしあなたが採用側の立場だったとしたら、「私の価値観は◯◯です」という説明のみで終わっている回答よりも、「私の価値観は◯◯なので今こういうふうに努めています」とか「△△△というようなことを経験して◯◯という価値観になったので将来的には□□にしていきたいと思います」といったように事実を織り交ぜて説明している回答のほうが心に響きませんか?
『思想を話しすぎず、事実とそこからの学び&今後に活かすことを説明する』ようにしてみてください。
2−4.設問6
2−4−1.設問6
★あなたが弊社の客室乗務員を志望した理由と、
弊社で挑戦して実現したいことを具体的に入力してください。
※改行せずにご入力ください。
※400文字以下
これも、すべての航空会社の試験で準備する必要のある本質的な質問ですね。ひねりなく、ダイレクトに聞いてくれるのでこちらも答えやすいです。志望動機とあなたの将来ビジョンを聞いています。(※転職の人は転職理由も聞かれていると思ってもらって間違いありません。) 挑戦したいとか実現したい事というのはあなた自身が持っている中長期的なキャリアビジョンのことです。
ここでのポイントは、理想としてはあなたの将来ビジョンが、この会社が会社として向かっている方向性にリンクしていることです。(補足:このときの実際の試験で私が注目したのは、この採用募集ページの下部に記載されていた”topics”です。既卒採用試験を受けるすべての人がかならず目にするところに会社のニュースを置くというのはどういうことでしょうか? 会社の向かっている方向性とか自分がどうしたいかっていうことを言語化できない人はそういう所にも気をつけて見てみると良いですよ。)
志望動機や将来ビジョンや転職理由を「合格するために」述べるときに最も重要なのが「企業研究」と、再び「自己分析」です。企業研究が大事な理由はここまでも何度か述べてきているように「会社と同じ方向を向いている人を採用したいから」です。このための企業研究の方法はまた話がそれてしまうので別の詳細記事に譲りますが、ここでは志望動機や将来ビジョンを書くために重要な自己分析について、(少しES作成の本線から外れて話が深くなってしまうのですが、)とても効果的な考え方をご紹介したいと思います。
2−4−2.納得度の高い転職理由/志望動機を書く方法
また「そもそも」の話をするのですが、そもそもあなたには人生目標とかキャリア目標があるはずです。明確では無いとしても、ぼんやりと「こうなりたい」というものがあるはずですね。それは人生におけるあなたの「中長期的な展望」のことです。そのために働くことで新卒からどんどんスキルや経験を積んでいっているのが今の状況です。これが個人としての働く意義の理想型であり、その形をグラフにしたのが下の図です。
そして、ある時点で「転職をしたい」「CAになりたい」と思うときというのは、つまり、今のまま今の環境でキャリアを積んでいったらこうなってしまうというだろうという下の線上の自分が想像できて、それじゃあ満足できないから、自分の中で上向きの成長線を思い描いて、その線上に乗るために起こすアクションが転職活動やCA受験なわけですよね。
横軸:あなたが働いていく年数
縦軸:あなたの人生プランやキャリアのプランの達成度
で、転職活動で(CA受験で)要求される【志望理由】とか【転職理由】っていうのは、つまりはこのグラフの上の線と下の線のギャップを説明することなのです。その差を埋めることを説明することがそのまま志望理由や転職理由になるわけなんですよ。伝わってますかね?
要するに、まず前提としてあなた自身の人生プランとかキャリアプランが自己分析&言語化できていないと、応募書類も面接での発言も作ることができないのです。違う言い方をすると、それだけのことが分かる設問がこのESで仕込まれているということです。
ここはCA受験にとどまらないあなたの人生観とかキャリア観も大きく関わってくるはずです。そういう自分なりのゴールがあって、そのために「こういう会社に入りたい」とか「こういう仕事をしたい」といった”動機”が浮かび上がってくる⇒それがそのまま志望動機になるんですよ。だからこのグラフをもとに考えていくと、ちゃんと自分目線の人生目標・キャリア目標と、受験する航空会社が向かっている方向性をリンクして話すことができるので、聞いていてとても納得度が高い(=通過しやすい)文章ができあがります。自己分析のアイディアのひとつとしてご紹介しました。
参考コース:
2−5.設問7
このESの最後の設問は証明写真をアップロードすることでした。
冒頭で言ったように、設問1〜6までで自分が書いたことと証明写真や第一印象で受け取られやすい自分像とのバランスを考慮して「どういうアピールをしたいか」の戦略をもとに証明写真を準備しましょう。
証明写真は、もちろん純粋に「見た目」をチェックされているのですが、ここまで作ってきた他の回答内容との印象バランスを考えた証明写真を用意することは「賢い合格」のために戦略が使える重要な部分です。
例えば、自己分析によって『写真や第一印象ではわからないと言われる強みや魅力』が出てきているのであれば、それを自己PRで文章として表現することが有効になる場合もあるし、逆に、写真や第一印象で初対面の人に受け取られやすい印象を更に自己アピールとして強調したいのであれば、設問1〜6の中でその要素を強調する文章を入れていくというのも戦略の一つになります。そういうふうに『印象』をコントロールしたり、アピールポイントを強調するため(または補充するため)という感覚で証明写真を捉えて、アップロードする写真を決めると良いでしょう。考えすぎでしょうか?ここまでするかってところまで考えて戦略を練ることの良いところは、例えその試験で合格できなくても、戦略を立てるために自分で考えた他の案やシナリオをもとに、次の試験に必ず活かすことができるからです。
2−6.ESの答え方のまとめ
ここまで見てきて、今回モデルとして使用したエントリーシートが満遍なく広く深くあなたのことが分かるような内容になっていることがおわかりいただけたと思います。いろいろな角度からの質問でしたが、どれも聞かれている核心部分・本質は、CA受験だからというわけでもなく転職採用市場において王道中の王道です。基本的な自己PR・志望動機・転職理由とあなたの価値観や人柄や印象までもが分かるようになっていました。
3.ESに関するQ&A
今回、ESに関する質問やご相談をブログやtwitter経由でも募集しました。ここまでの内容で触れることができなかった質問について、ここからQ&A形式で答えていきます。今回のモデルESだけでなく、全ての航空会社の試験に有効な回答になっていますので参考にしてください。
3−1.Q&A1:回答内容の要素は重複してもよいか?
「設問4〜6でアピールすることはそれぞれ異なることのほうが良いですか?似たようなアピールになってしまっても良いですか?」
いただいた質問
★ESの設問が大きく3問あります。そこでアピールする点はそれぞれ異なるもののほうが宜しいと思いますか?私の場合頑張ったことにダンスのエピソードを書き謙虚さの大切さ、地道に努力することの大切さを学んだと書き、仕事で大切にしていることに以前CAとして少し働いていたエピソードを書きこれも課題に対し挑戦することを大切にしていると書こうかなと思っています。言葉は違えどどちらも努力、チャレンジと似ているものばかりになってしまったので疑問に思いました。
私の回答
この方は、自己分析で出てきているエピソードが、掘り下げて突き詰めていくとどれも同じようなことばかりアピールしていることになると感じたそうです。この方が、もし『努力できること』とか『チャレンジ精神があること』を軸としてアピールすることが戦略として良いと分析したのであれば、違う設問で同じ結論に行き着いてしまうのは、悪いことではありません。表現の仕方も重要ですが、それはある意味”一貫性”にもつながってきますしね。
多くの人が、なんとなく「バイタリティー」があるほど優秀だとか「何でもできますアピール」をしたほうが有利だとかいう幻想を持ってしまっていますが、これって別にしなくてもいいというか、逆に「何でもできるアピール」とか「能力の高さを過剰にアピールしてしまうと、その人らしさが見えなくなりやすいです。もちろん、その優秀さとかバイタリティがあなたらしさであるなら、それはそれで良いのですが、採用側もそこまで完璧な人を求めているわけではないです。もう何度も何度も繰り返して申し訳ないのですが、採用試験で見られているのは【あなたが世界を見るフィルター】とか【仕事上の価値観】です。そう考えると、結果的に似たような回答に行き着いてしまうのは、むしろ自然なことかもしれません。もしきちんとした自己分析をしているのであれば、自信を持って同じ要素を何度も用いて自己PRしてください。
この質問に関連して、全ての受験者に向けて言えるのは、自分は一体どういうことをアピールしたいのか、企業側が求めている人材像に重なる自分はどんな部分なのかというアピールポイントを明確にすると、どの設問で何を言うべきかはもちろん、証明写真や、表面的に見えやすい経歴やスキルはどれを書いてどれを抜くべきか、っていうことまでも自然と見えてくるはずです。そういうことがわかるためにはやっぱり正しい自己分析が大事なんですよね・・・何度も同じ結論にたどり着いてしまって呆れられてしまうかも知れませんが、それほど自己分析が重要です。
込み入った話になりますが、自己分析で出てきた自分の強みや魅力の要素がすべて似たようなものであってもいいと思いますし、これは逆に言うと、『もし自分がアピールしたいことが文章として言えていないのであれば、違うエピソードで自分が本当にアピールしたい要素の裏付けとなるものを探してくる必要もある』ということが言えます。そうやって自己分析と実際の応募書類を行ったり来たりしながら最終的に仕上げていく書類は必ず通過します。
3−2.Q&A2:チームで働いたことがない人はどうする?
「CAはチームワークが大事だと思いますが、チームとしてのエピソードをほとんど入れることができていません。これでも大丈夫でしょうか?」
いただいた質問
★私の場合はチームとしてのエピソードをほとんど入れることが出来ず…
CAはチームワークが大事なのにそこをアピールしなくて大丈夫かなと心配になっています。
私の回答
これは結構多くいただく質問です。実際、これまで働いてきた経験の中でチームとして働いたことがあんまりないとか、お客様に直接そんなに喜ばれた経験がないって人はいると思います。でも、CAはチームで働く職種です。じゃあ、経験のない人たちはアピールできないかと言うとそういうわけではありません。そういう人たちはどうすればいいかというと、これは私の考えではあるんですけど(また「そもそも論」になりますが、)仕事として働くっていうことはどんな職種であれどんな業界であれ、年月が短くても長くても、必ずあなたが働いた向こう側に『お客様』が存在していて、『誰かのため』に仕事ってあるじゃないですか。だから、自分がやってきたことが、どういう風に『お客様』とか『チーム』に良い影響を与える構造をしてるか、想像力を働かせてみてほしいんです。これまでの経験の中で、お客様のためになったことやチームのためになったことが思い出せないっていう人は、「自分がやっていたことはお客様のためにどんなふうに役立っていたのか」とか「チームのためにどういう風に役立っていたのか」っていうことを想像してみてください。そして、それを今現在の働き方や自分が理想とする働き方、キャリアビジョン等に重ねて考えた時に『自分はどういう価値観で働いていきたいか』という視点だったら主張が浮か日やすいと思います。
これはこの質問に限らず、CA受験で問われるどの段階の回答を考える時にも言えることなんですが、こういうふうに過去にネタになるものがない人は現在とか未来にフォーカスを当てて考えると回答が作りやすいですよ。
3−3.Q&A3:本音と建前をどう使い分ける?
「学生の頃からCAを目指していたとしても、現職をする中でCAを志望するようになったと書いたほうが良いのでしょうか?」
いただいた質問
★志望動機は、現職をする中で志望するようになった理由を書いたほうがよろしいでしょうか?
実際のところは、学生の時からCAを目指して、試験を通してさらにJALで働きたいと思うようになりました。
私の回答
さっきの話の続きみたいになるのですが、今あなたがどんな仕事に就いているのであれ、その仕事は『誰かのため』になってる仕事なはずなんですよね。で、客室乗務員って、新卒で合格できない人は本当に本当に多くて、その代わりに、言葉は悪いですが『仕方なく選んだ仕事』に就いている人はとても多いと思います。私もそうでした。でも、そうだとしても、その今の仕事で、自分は何を頑張っているか、なんでそれを頑張っているのか、それはどういう風に人のためになっているのか・・・っていう風に一生懸命その現職について考えてみてほしいのです。実際は、学生の頃からずっと客室乗務員になりたくて新卒の時にはなれなくて仕方なく今の仕事をしているとしても、会社側が知りたいことは『今のあなた』と『将来をどういう風に考えているか』なんですよ。もちろん、過去の経歴をきちんと語れるのであればそれでいいんですけど、そこが弱いなと自分で感じている人は、本音が過去にあるとしても、現在と未来にフォーカスを当てて回答を組み立てていくほうが合格に近づきますし、それは嘘で固めた建前ではなく、きちんとした回答になるはずです。
3−4.Q&A5:新卒でダメだった人の既卒受験のタイミングは?
「私は第二新卒で、現職の経験も1年ほどしかないのですが、スキルをアピールするために大学時代や新卒時のエピソードを使うのは良くないでしょうか?」
「新卒で不合格だった場合でまだ社会人経験が1年に満たない場合、新卒時の自己PRを使いまわしても良いのでしょうか?」
いただいた質問
★私は、今年の3月に大学を卒業したため、ほかの既卒の方に比べると、社会人になってから培ってきたスキルのアピールポイントが少ないと思います。そのため、大学生の時に頑張ってきたことである「ゼミナールの仲間ともに研究に励み、国際◯◯研究大会優勝」「JALの免税店での接客経験」などから培ってきたスキルの方が、アピールできるのではないかと考えております。
私のような第二新卒のアピールの仕方について、お伺いしたいです。
★当方2017年に新卒としてJALにアプライしております。 これまで最も力を注いで取り組んだこと という設問がありますが、まだ今の会社で1年も働いておらず新卒の時に書いた事柄と変わりありません。 その経験が現在にいかせているというところだけ現在の仕事に絡めて書こうかなと思うのですが、新卒時と同じ内容だとあまりよくはないでしょうか、、
私の回答
同じカテゴリーの質問だったのでまとめてお答えします。
まず最初の方は、昨年は新卒としてアプライしていて不合格となり、今年は既卒としてアプライする場合、どういうふうに自己PRを書いたらいいかわからないってことですね。
これも多くの人が陥りがちなことなんですけど、確かに一般論として、他の人と比べたりとか普通だったらこうだろうとか(例えば『私はまだ1年しか今の仕事の経験がないからアピールできることが少ない』とか)っていうふうに考えてしまうのは自然なことだし間違いでもありません。でも、ここでは一旦そこから視点をちょっとずらしてみてください。どんなに短い就労期間であれ、あなたが学んだ事や発見したことや気がついたことって必ずあって、今あなたが業務上で一生懸命にやってることがあるはずです。
何がいいたいかと言うと、重要なのはいつでも『今現在』だということです。ただ、この質問者2人の場合、大学生の時に頑張ってきたことが今の仕事や今取り組んでいることよりも深く印象に残っていたりとか、新卒の時に書いたことが今も自分の中でアピールしたいことだったりとかするわけですよね。こういう場合、あくまでも自己PRの内容の軸エピソードは『現在』のものを使い、その価値観の起点は過去にあっても良いです。
事実としてアピールできるエピソードが過去にあって現在も思い出されるということは、過去に作られた価値観が今も生きているって事ですよね?だとすれば、その価値観が、今やっていることや将来の目標に必ず投影されているはずです。そこを具体的に言語化すると、大事にしている価値観を表現しながら現在のあなたの魅力や強みを納得度高くアピールすることができるんです。大事なのは『今現在』あなたが何を考えているかです。価値観が醸成されたのは昔のことであっても、今現在のあなたの仕事ぶりや人生にどんな価値観がどのように活きているのか、というふうに考えながら回答を組み立てると文章が書けると思います。(これを書きながら「やっぱり自己分析って重要だな」とまた感じています。。)
3−5.Q&A6:今回受けない人が今から準備しておくべきことは?
「転職をしたいのですが現在、国内航空会社でOJTとして働いています。だいたいどれくらい働いたら既卒採用を受験できるのでしょうか?」
「今回は受けないのですが、いずれ受けたいと思っている人が、これはやっておいたほうがいい!ということを教えてください。」
いただいた質問
★現在国内航空会社に入社して、OJTとして働いています。
大体、どれくらい働いてからから既卒を受けられるのでしょうか?
また、まだ私はOJTですので受ける予定はございませんが、どれくらいから受け始めたらいいのでしょうか?りえさんのお考えなどもお聞きしたいです!
★今回は受けないけれども、いずれ受けようと思ってた人へ、今はこれやっておいた方がいいよ!というものがありましたら、教えて欲しいです
私の回答
今すぐの受験ではなく少しでも時間がある人は必ず、設問6でご紹介したグラフをもとにして自分のキャリアビジョンや人生ビジョンに向き合う時間を取って、まずはそのゴールをイメージしてみてください。はっきりと明確でなくても全然大丈夫です。そして、今自分がどの時点にいるかを見極め、自分の理想とするゴールに到達するするためには今の環境や状況のもとで何を学び何を行動していくべきかを見出してください。まとめると、
- 自分のキャリアビジョンや人生ビジョンに向き合う
- ゴールをざっくりと仮定してみる
- 現在地を確認する
- ゴールから逆算して今何をするべきか考えてみる
例えば、今は国内航空会社で働いているんだったら、自分はどこまで学んだら次の段階に行きたいと思うのかっていうのは人それぞれですよね。実際にグラフを書いて上記の項目を書き出してみて仮のゴールを定めてみて、現在地を把握することで。どこまで何を習得したら次に行きたいか検討がつくし、タイミングを見極めることができます。アクションは人によって違います。今できることを一生懸命やりたいと思うならそうすることが最短で自分の希望する会社のCAになるための方法になるし、今すぐに転職のアクションを起こすことがその一手となる人もいるでしょう。とにかく上記のステップを踏むと、今自分が何をするべきかが見えてきやすくなるのでおすすめです。
また、今すぐには受験しないけれど準備をしたい人にオススメするのは、ずばり、今回のモデルとなっているESを使って自己PR・志望動機・転職理由・人柄・印象を合格するためのクオリティに引き上げる自己分析をすることです。冒頭で言いましたが、今回モデルとしたESには、どの職種でもどの業界でもどの会社でも、就職市場/転職市場において王道中の王道の質問が並んでいるので、この記事を見ながら各要素を書き上げたり更新したりしておくことで、合格できる準備ができていきます。
4.最後まで気を抜かない!ライバルに差をつける2つのポイント
最後まで読んでくれたあなたに、ちょっと違う視点から「一貫性を出す方法」についてこっそり教えます。
4−1.説得力や一貫性を出す考え方のちょっとした秘密
正直なところ、転職理由や志望理由について「納得したものが全然書けない!!」っていう人、いると思うんです。例えば「単純に憧れているから」という理由だけでCAになりたいとか、「とにかく今の仕事が嫌で何もアピールできることがない」とかですね。そういう人にオススメしたいのが、転職活動/就職活動における王道中の王道と言われる各要素を時間軸で捉えることです。ちょっと複雑な話になるのですが、ここまで読み進めているあなたなら深く理解できると思うので、次の図を見てください。
経験・経歴・人柄・印象・転職理由というのは、つまりあなたの【過去】に属するものです。そして、志望動機は【現在】に属するもので、キャリアの目標や人生目標っていうのは【未来】に属することです。
理想を言えば、この【過去】の中に圧倒的な魅力や圧倒的に他人と差別化できる要素があることが望ましいでしょう。でもそれが活かせていたら既に合格しているはずですよね。過去に圧倒的な何かを持っている人はそんなにいないわけです。実際、本音が「今の職業が嫌だから」という理由でCAを目指してたり「とにかく客室乗務員になりたい」という浅い動機の人もいるはずです。私はその気持ちがとてもわかるので(笑)、否定はしませんよ。でもやっぱりそれだと聞く人を納得させる文章にはならないはずです。じゃあどうすれば良いかと言うと、そういう人はもう【過去】にこだわらなくていいので徹底的に【現在】と【未来】に光を当てて文章を組み立てたり自己 PRや志望動機を考えたりしてみましょう。【過去】に説得力がなくても意外にも自然と文章を作ることはできるからです。
例えば、こんな感じ。
- 転職理由で相手を納得させられるような説明ができない人は、「自分は◯◯というキャリアビジョン/人生ビジョンを持っている」という【未来】にフォーカスして【現在】の価値観を納得感のある文章にしたり
- この会社でなきゃだめ!という志望動機がはっきりしない人は、転職理由や自分の人柄・印象を存分にアピールできるようなエピソードを用いたり
つまり、自分が自信を持ってアピールできる時間軸をまず探すのです。そして、そこから拡げるようにして発言を組み立てていくことで、自然と説得力や一貫性のあるものができるので試してみてください。
4−2.ES提出”後”にライバルに差をつけるためにやるべきこと
4−2−1.提出した文章と写真の保存と振り返り
最終的に提出した文章と写真は保存しておきましょう。
もしエントリーシートが通過したら、面接の一次試験に呼ばれますよね。既卒の場合は、通過させた書類をよくチェックされていて、その内容をもとに面接の質問がされることが多いという傾向があると私は感じています。ですので、自分が何をエントリーシートに書いたかっていうことは必ずきちんと把握しておくことが大事です。そこをもとに面接の発言を組み立てていきたいからです。
4−2−2.スケジュール管理
書類選考以降の選考スケジュールを把握しておきます。発表されていない場合でも、だいたいこの辺かな?という目星をつけて、今働いている人は休みが取りやすいように現在の仕事を回す工夫をしたり様子を伺ったりすることを始めます。
4−2−3.印象バランスを熟考し、自己紹介の準備をする
写真の印象を見直したり、自己PRや志望動機を更に磨いたり、提出した写真とESの内容のバランスを考慮しながら面接で言う自己紹介を作っておきます。
4−2−4.合格につながる企業研究を深める
面接までに企業研究をさらに進めます。この企業研究というのは、航空会社について隅から隅まで調べ上げるというわけではありません(もちろんそれができたらいいんですけど時間がないし合格に有利だとも言えません)。
”自分がその会社の客室乗務員として働くということをどれだけ現実味を持って考えているか”というのは、自己PRや志望動機の発言の中身の厚みとか、実際に面接に呼ばれた時の表情・所作・姿勢・目線に滲み出るので、本当にリアルに自分が働いているイメージを具体的にすることです。そのために企業研究をします。その会社に純粋な興味を持って、次のようなことをヒントに情報を見ておきましょう。
- その会社がどういう将来性を持っているのか、
- どういう方向を見て何に力を入れているのか、
- 自分はどういうところに共感できるのか、
- 自分はその会社の方向性にどんな経験や性格やスキルを活かして貢献できそうか、等
こういったと視点で広くニュースを見てみたり、もし可能であれば関係者に話を聞いたりできると、合格に近づける企業研究ができますよ。